検疫強化の実態(新型インフルエンザ) | 共同合宿所

検疫強化の実態(新型インフルエンザ)

アメリカに行ってきた(大きな声では言えないが)。

ロスアンジェルス空港に降りてすぐ、まず、さっそく小さなシャトルバスに乗ってアナハイムまで向う。空港の道路を通り過ぎていく間く、バスや車を待つ日本人のマスクの集団が多数いたが、現地の人と他国からの旅行客の冷ややかな目線・・。そんな自分も成田からマスクをして参戦(藁)。
車内では、ある観光客が、豚インフルエンザの件を
「まったく過剰反応すぎるよ。すべてはビジネスさ。薬も売れるだろ。」
とあきれたように批判する。
その人に別れ際、
「ところで、どこから来たの」
と聞くと、
「メキシコシティさ」
・・う・・。 メキシコシティの人でもそう言う見方をするのか、ということと、着くなり狭い空間を共有してしまったこととで、ビミョーな気持ちになる。
そのあと、ドライバーからアドバイスを頂戴した。
「マスクはするな。でも手は洗え。人の多いところは気をつけろ」
なんだか、ここで吹っ切れる。

日本とは違って、こちらの人々はインフルエンザを大して気にしておらず、ずいぶんとリラックスしているように見えた。
行った当初こそ、USのTVでは新型(豚)インフルエンザのニュースが冒頭で放送されたが、約1週間の滞在中にやがて消えていった。

LAXでも、カリフォルニア空港でも、どちらも検疫を強化している感じではなかった。むしろテロ対策の方にいまだに注力している感じか。

しかし、日本に帰ってきたら、空気はまるで変わった。飛行機には完全防備体制の検疫官が入ってきて、健康チェック。サーモグラフィでの体温チェックがメイン。怪しい人には体温計を使って測らせる。
軽く1時間は越し、2時間近く機内に閉じ込められていた。10時間以上のフライトで疲れてるのに、さらにぐったりしてくる。私の前の席の人たちと、後ろの人たちが先に解放され、自分のブロックだけ最後まで残される。
体温計で測らされている人や、特別に質問されている人がいると乗客は何度も振り返って神妙な面持ちで視線を送る。
その間、検疫官からはなんの説明もない。外国人がいらだって、客室乗務員に質問を投げかける。
ここで万一、陽性の人がいるとすると、この2時間の延長の検査の間にさらに感染する可能性だってある。しかし、彼らの考えとしては、水際で防ぐことが重要だから、感染しようがここの人間さえまとめて隔離してしまえばいいわけだ。
正直言って、USAで搭乗する前にチェックしなければ意味がないと思った。もちろん、それは現状不可能なわけだが。ちなみにおかしいことにトランジットの人は検疫が免除なのだ。

さてやっと開放されると、成田空港では働いている税関や銀行の人や売店の人すべてがマスクをしていた。LAXとSFOの空港ではみられなかった光景だ。

さっそく今日の昼間、私の携帯に、近所の保健所から電話があった。体調については大丈夫ですか、という質問と、帰国してから10日間は注意をしてくれ、という内容。
びっくりして、何で私の海外旅行を知っているのかときくと、成田で提出した問診票に記入してあったからという。ああ・・そうか。
そしてこう言うのだ。
「もし熱が出たり、風邪の症状が出ても、病院には行かないでください。保健所に連絡をください」。
とにかく発症いたら隔離しようということだ。

それにしても、この人権無視とセットとなった検疫強化、いったい、どれだけのコストを払っているんだろうか。
確かに注意することにこしたことはないのはわかる。
楽観すぎるかもしれないが、しかし現状は弱毒性で日本は季節は夏に向かう。
万一大流行し致死率が上がったときには大変な事態となり、ついては経済的なダメージも大きいというが、いやいや、今この過剰な報道、反応が、かえって今現在経済的にダメージを与えている。
現状分析に冷静さを失ったうえに、無駄な財政コストを払い過ぎている、というのが正直な感想だ。