父親の影響力なのか。21世紀出生児縦断調査(特別報告)結果の概況 | 共同合宿所

父親の影響力なのか。21世紀出生児縦断調査(特別報告)結果の概況

財団法人「こども未来財団」が発行する『こども未来』6月号に休日に父親と過ごす時間が長いと「がまん」できる子に』との記事があったという。

残念ながらこども未来財団の記事を読む機会に恵まれないのだが、もともとは、厚生労働省「21世紀出生児縦断調査(特別報告)結果の概況」からの分析とのことで、こちらは即座にチェック可能。
どういう調査かというと2001年から毎年調査を続けていて、たとえば、子供が2歳6か月のときの「父親と休日に過ごすの時間」が、その子供が5歳6か月になったときに、子供の行動にどう影響しているか、というものである。「がまんすること」「落ち着いて話をきく」「ひとつのことに集中する」等いうことにたいして、子供の行動が、できる、できないのか、という問いをした結果。

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もちろん、父親との時間とを多くしてもらったほうがいいにこしたことはないのだが、何かこのジェンダーバイアスで母子家庭を否定するような感覚は腑に落ちない。

一方、『父親との休日との過ごし方別』という調査もあり、「家族と一緒に過ごす」「家庭内で家族とは別に趣味などをして過ごすことが多い」「家族とは別に外出することが多い」「もっぱら寝て過ごすことが多い」「仕事に行く、家で仕事をすることが多い」によって、子供のがまんや、落ち着きや集中にどう影響するか?結果は、「家族と一緒に過ごす」というのは、がまんや集中をもたらしているが、一方で、「仕事にいく 家で仕事をする」というスタイルも同じようながまんや集中力をもたらしているのだ。どれも同じようなカーブになっているのが面白い。

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わたしなりに考えると、仕事に行ったり、家で仕事をすれば、子供は遊んでもらえないから、我慢を強いられことと同様に、家にいても嫌なオヤジだったら、子供は我慢を強いられるのか、と思ってしまう(笑)。とまあそれはさておき、よくわからない結果である。

そもそも調査対象は子供でも、調査に回答しているのはいったい誰なのか、というと、父親ではなく、その多くは母親ではなかろうか、と思う。
となると、母親一人での子育ての時間が長くなれば、子供の行動にイライラし、彼らの行動の評価に厳しくなっていくのかもしれない。ただし、父親が仕事に行ったり、家で仕事をしてる場合については、ちゃんと稼いでくれてる、ということだから妻の精神状態は安定してきて、子供に対する評価も上がる??
などなど、妙な家族像を考えてしまわずにはいられない。
もう少し考察が必要だ。

いずれにしても、確かに父親の家庭回帰は必要だが、かといって、あたかも、母がいて父がいて、そんな家庭像を当たり前のように理想化するのも危険な気がする。家族や世帯や暮らしのあり方はひとそれぞれであるし、親のどういった行動が子育てにどう影響するかだなんて、性別ではなくて個性だろう。
しかも、会社人間で、普段母親より何もしてないような父親が、休日に何かした程度で、子供に良い影響をもたらしたとか、まあよく言うわ、と思う。男っていいね、ちょっと子育てや家事しただけで尊敬されるんだから。母・妻というのは割に合わない職業なのだな、というのが正直な感想だ。